リーダーの器
舞台を日本からアメリカに移し、連日熱戦が続いた野球のWBCで侍ジャ
パンが見事に優勝を成し遂げました。
準決勝では、全員がメジャーリーガーの強豪メキシコに劇的な逆転サヨ
ナラ勝ち。
そして、スーパースターを揃えた野球の母国、優勝候補の米国戦では自
慢の投手陣が奮起して最少失点に抑えました。
息詰まる展開の激闘を制し、3大会ぶりの優勝を果たしたのです。
決勝は残念ながら仕事だったのですが、準決勝はシッカリと応援させて
頂きました。
筆者も早めに朝食を済ませて、朝からTVの前に噛り付きました(笑)
試合後、地元のマスコミ(米FOXニュースのツイッター)は日本代表
の試合後のある行動に注目していました。
侍ジャパンの選手達が三塁線上に一列に並び、スタンドのファンと、
一塁側のメキシコチームに対して脱帽してお辞儀する姿の動画を紹介す
るととともにこうコメントしていたのです。
「尊敬以外の何物でもない」
「チームジャパンは退場の際、ファンとチームメキシコに対して頭を下
げた」
と、相手の健闘をたたえる真摯な姿を絶賛していました。
そしてコメントは続き、
「彼らはファン、対戦相手、そしてゲームを尊重する」
「ビッグな存在(日本代表)だ」
「世界に必要なのは、この尊敬、謙虚さ、団結だ」
と、改めて賞賛の言葉を綴っていたのです。
強いだけでなく、対戦相手やファン、そしてマスコミからも尊敬される
存在…
筆者は思わず「日本の政府もこんなチームだったらな~」と思ってしま
いました。
今年も桜の開花が発表されています。毎年早くなっているような…
最後まで諦めない心
準決勝ではスリーランホームランで先行された上に、チャンスでも最後
の一本が出ずに、追いつくチャンスを何度か潰す重苦しい展開の中、と
うとう最終回まで追い込まれましたが、選手たちは誰一人諦めてはいま
せんでした。
9回裏の先頭打者である大谷選手がヒットで出ると、2塁ベース上で、
「俺に続け!」
とばかりに派手なジェスチャーでチームを鼓舞していました。
苦しい時こそ団結できるチームが本当にいいチームなんだと感じました。
チームだけでなく、街も、会社も、自治体も、国も同じかもしれません
ね。
今のこの国は、国民は、この国の将来を諦めてしまっているのかもしれ
ないと少し考え込んでしまいました。
枝垂れ桜はお辞儀をしているようです。でも下を向いてはいけませんね
信じる力
最後にサヨナラ打を打った主砲の村上選手は不振が続き、この試合でも
第一打席から第三打席まで三振を続けていました。
7回の打席では、代打が準備されていたのです。
村上選手の直前の打席で、吉田選手が同点3ランを放った為、村上選手
はそのまま打席に立ち、この時も凡退していました。
でも、9回の打席でチームの首脳陣が村上選手に贈ったエールが凄かっ
たのです。
村上選手が試合後に、そのメッセージを暴露しています。
「バントも頭をよぎりましたが、コーチから監督の “任せた 思い切
って行ってこい”という言葉をもらい、腹くくって行きました」
村上選手は、
「周りの力というか、チームのありがたさや団結をすごく感じました」
と振り返っていました。
筆者は、チームを束ねるリーダーの度量というものを感じてしまった
のです。
度量という言葉を辞書で引くと「心の広がり」とありました
勝利ばかりを優先するリーダーはたくさんいます。
お金(儲け)ばかりを優先する「新自由主義」者の経営者のようです。
本当のリーダーは、人の育成と共にその人が持っている潜在能力をも引
き出すことが出来るんだと…
試合後、栗山監督はこのように話しをしていました。
「たぶん本人の中では最後打ちましたけど、チームに迷惑かけてる感じ
しかないんじゃないかな~(とっても変な日本語ですね…(笑))」
「世界がビックリするバッターであると僕はWBCで証明したいと思っ
てやってきた」
「まだまだあんなもんじゃない」
「最後、お前で勝つんだとずっと言ってきた。僕は信じてます」
と、選手を最後まで信じる力を持っていることを示していました。
この言葉を聞いて筆者は、
「これが真のリーダーなんだ…」
と思いました。
「今日(準決勝)も最後まで選手達が追いついてくれると信じて見てま
した」
と明かした監督は、
「本当にすごくいいチームで、素晴らしいチームだなと思いました」
とまで語っているのです。
発足して僅か1年ばかりのチームですが、リーダーの力量でこんなにも
違うものだと他のチームを見て思ってしまったのです。
リーダーの器の大きさ以上にはチームは大きく(強く)なれないのかも
しれないですね。
木にも人間にも器の大きさを感じさせる何かがあるような気がします
常に可能性について考える
なぜ栗山監督は、こんなに選手を信頼できるのでしょうか。
その答えのヒントは、監督がいつも参考にしている「ノート」の中にあ
りそうです。
今から50年以上も前にプロ野球の監督として活躍した 三原脩監督(当
時の西鉄ライオンズ)は素晴らしい(野球)ノートを残しています。
夢やロマンを重視していた三原監督は、独特の戦術理論を展開して「魔
術師」とも呼ばれていました。
そして凝り固まった「固定概念」を持たない監督としても有名だったそ
うです。
どんな状況にあっても、常に可能性を模索する前向きな方で、
常に「(現状を打開する)何か策はないのか」
と考えることから始める前向きな方だったようです。
栗山監督だけでなく、他のプロ野球チームの監督にも大きな影響を与え
たこのノートには凄い金言が書かれているのです。
栗山監督は今回のWBCに臨むにあたって、何度もこの「三原ノート」を
読んだそうです。
もう50年以上も前に書かれたノートなのですが…
そのノートに書かれた金言が、50年以上経った今でも少しも陳腐化し
ていないことを、今回の侍ジャパンの大躍進(7戦無敗)が証明したと
言えるのかもしれませんね。
きっとこのノートは野球だけでなく、様々な分野にも効果がありそうで
す。
国のリーダーになって慢心し、好き勝手し放題の方々にも是非読んで欲
しいものです。
WBCにおける栗山監督の采配、言葉からリーダーとは何かを考えさせら
れました。
「いつかは素晴らしいリーダーになってみたい…」
そんな想いで今回の記事は書いてみました。
今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申し上げます。