認知症 この厄介な病気
このブログ記事でも何度か取り上げてきた認知症…
その影響は徘徊による行方不明や事故だけではありません。
認知症に対する社会の認知度が上がった為に、様々な問題も増えてきて
います。
先日も新聞に、高齢者の4人に1人が高齢ということだけで賃貸住宅の
契約ができなかったという経験を持つことが記事として紹介されていま
した。
高齢になると、火災等の事故や近隣とのトラブルだけでなく孤独死等の
問題が懸念され、賃貸物件のオーナーから敬遠されているようです。
加えて、年金しか収入がない場合等、金銭面の不安がある方もその敬遠
の対象にもなっています。
そんな中で、高齢化と共に広がる認知症の影響も、これからこの敬遠さ
れる材料へ加えられる可能性が高いのです。
虹が見えると人生が好転すると言いますが、認知症はそんな希望も
見えにくくするのかもしれませんね
認知症は誰もが罹る可能性のある病気
でも、認知症は誰もが罹る可能性がある病気なのです。
認知症の発症確立を見てみると(あくまでも統計数字ですが)、
60歳代 1~2%
70歳代前半 3~4%
70歳代後半 10%
80歳代前半 20%を超える
80歳代後半 40%
90歳 60%
95歳 80%
若年性のものもありますが、加齢とともにそのリスクは確実に上がって
いきます。
認知症は誰もが罹る可能性のある「病気」なのです
雄大な風景を見るように大きな気持ちを持って対処することが必要です
個人差があって、症状は人によって違うことが殆どです。
徘徊は全ての人には起こらないようです。
軽度から重度まで進行は非常にゆっくりと進むのですが、家族と共に住
んではいない独居の場合、その進行を理解できる人はいません。
ようするに独り暮らしの高齢者が、一番リスクが高いということになり
ます。
昔は、認知症のことを「ボケ」と呼んでいました。
昔はよくボケ老人という言葉が使われていましたが、その老人の数が少
なかった時代の言葉とも言えます。
そして、少し前までは「痴呆症」とも呼ばれていました。
専門用語では「スペクトラム障害」と呼ばれ、物忘れから始まり、失見
当識へと進みます。
失見当識とは、時間と場所の感覚が無くなることを指します。
その為に、道に迷うのです。
自分の家にいるにも拘らず、自分の家がわからなくなり、それが徘徊へ
とつながります。
時間の感覚が無くなるので夜中に出かけてしまい、同居者も気付かない
のです。
最後には知識障害へと進み、本を読んでも内容がわからなくなります。
昔は高齢者自体が少なかった為に大きな問題にはならなかったのですが、
これから高齢者の数が増え、特に75歳以上の高齢者が増えていくよう
になると、認知症の問題は爆発的に増えることになります。
その影響は社会全体に広がりますが、一番その被害を被るのは親族、
そう高齢者の子供たちです。
高齢化とともに認知症の親を高齢者である子供が面倒を見なければなら
ない社会が広がっていくのです。
そして、前述のように様々な症状に悩まされることになります。
暗くなってから徘徊されると見つけるにも一苦労です
対応に苦慮する場合も
先日も筆者は認知症の独居高齢者(後期高齢者)に悩まされました。
もう耳が遠く、インターホンを鳴らしても、電話を鳴らしてもなかなか
出てくれません。
心配して子供さんに連絡しても緊急連絡先である子供さんの携帯電話も
つながらない状況が数日続いた後、ようやくご本人に会えました。
筆者はホッと安心したのですが…
その際、言われたことは、
「なぜ連絡しないの…」
何十回もインターホンを鳴らし、電話もしましたというと、
「嘘をつくな!」
と罵られる始末でした。
何もなくて良かったのですが、これが認知症の怖い所です。
これでは誰も相手にしなくなります。
賃貸物件のオーナーや管理を委託されている会社が、認知症を知れば知
るほど敬遠されることは火を見るよりも明らかです。
認知症サポーターの数は随分と増えましたが、残念ながらその数と比例
するように認知症患者を敬遠する人も増えていくのです。
症状が悪化した高齢者はやっぱり施設に行くしかないのかと、少し複雑
な気分にもなりましたが、心身の虚弱化も含めて認知症(の進行を)防
ぐ活動を社会としてもっと進めていく必要があると感じました。
画像素材:PIXTA 自治体も色々な手段を使って高齢者の虚弱化と
認知症予防の為に活動の場を設けていますが、参加者は低迷している
のが実態です
このままでは高齢者は住むところにも困ってしまう。
高齢化の進行が落す暗い影は日増しに広がって行くような気がしてなり
ません。
まず我々が出来ることは、まず高齢化の影響を正しく知って、備えるこ
とだと思います。
自分の親のことを…
自身が高齢化した時のことを…
その時に自分の子供達に何をしてもらうのかを…
目を背けてしまうと、その時になって困り果てることになります。
前回の記事でご紹介した親と子の「近居」もその解決策の一つになるの
かもしれませんね。
記事でも何度かご紹介したPPK(ピンピンコロリ)で逝ける人は僅か
5%以下なのですから、地震と同じで備えておくことが大事なのです。
そんな時にこのブログが少しでも役に立てば幸いです。
今回の記事は、少しずつ、そして確実に増えていく認知症という高齢化
社会のリスクについて考えてみました。
今回の記事も最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。