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高齢と共に鈍るモノ

2023年11月18日
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最近、高齢世帯の火災事故についての報道が続いています。

 

テレビのニュースでも、頻繁に事故が起きていることがわかります。

 

逃げ遅れて高齢者が犠牲になっているという情報を聞くと少し悲しくも
なります。

 

実は、高齢になると火傷による事故が増える傾向にあります。

 

筆者も勉強していた高齢者施設で、そんな事故により被害を受けた方を
たくさん見てきました。

 

キッチンで調理中に、ガスコンロの火が衣服(の袖)に燃え移り、火傷
をする…

 

ストーブに近づきすぎて、気が付いたら衣服が燃えていた…

 

肩に火傷をするまで(衣服が燃えているのに)、気が付かないなんて…
と驚いたことがあります。

 

直火だけでなく、トイレの便座やホットカーペット等による低温火傷な
んていうケースまであるのです。

 

なぜ、高齢になると火傷や火による事故が増えるのでしょうか。

 

 

早くも北海道では積雪が観測されたそうです 今年は秋が短いですね…
暖房機を使うある意味危険な季節になってしまいました…
写真は冬はめっぽう厳しい北海道の手稲の山並み 

 

 

感覚器の機能障害

 

 

高齢になって熱に対して鈍感になるのは、感覚器の機能が低下するから
だとされています。

 

人間の身体を動かす仕組みはとてもシンプルです。

 

下図のとおり、五感と呼ばれる体の感覚器にセットされているセンサー
から信号を脳に送り、脳がそれを判断して行動を起こします。

 

 

感覚器から脳へ、脳が判断して行動を起こします

 

 

この感覚器にセットされているセンサーを受容器(受容体)と呼んでい
ますが、この受容体の機能が低下すると、感覚器の情報が正確に脳に伝
達できにくくなるのです。

 

例えば、皮膚という感覚器(触覚)にセットされている受容器の機能が
落ちると鈍感になり、熱さを感じにくくなります。

 

ですから、調理中に熱いと感じた時には、既に衣服が燃えていたという
ことになるわけです。

 

直火だけでなく、夏季に高齢者が熱中症になりやすいのも、同じ原理だ
ということが理解できます。

 

暑さを感じにくいことが、熱中症に繋がるのです。

 

高齢になったら、或いは親が高齢になったら、感覚器が鈍るのだという
ことを頭に入れておいた方がいいのです。

 

最近、高齢世帯のキッチンでは、ガスコンロから電磁調理器(IH)に
換えるところも増えていますが、それも一つの対応策かもしれませんね。

 

冬季は、直火を使うストーブではなく、エアコンによる暖房に切り替え
ることも良策かもしれません。

 

気が付いた時に対応を考えて、実施することも大事なことです。

 

 

年齢を重ねると、スッキリ感が少なくなっていくものなのかも…
写真は北海道 美瑛の「青い池」

 

 

受容器の機能維持

 

 

普段は気にならなくても、我々の身体を守ってくれているセンサーでも
ある受容器の機能を低下させない方法はあるのでしょうか。

 

例えば、以前の記事でもご紹介した「耳」

 

耳の場合、(音や声を)聞く為の受容器は、耳の中の蝸牛管にある有毛
細胞です。

 

有毛細胞は、低音から高音域までを1万8千本の髪の毛のような細胞で
受容器としての機能を働かせています。

 

内耳にある有毛細胞までは、物理的な音(振動)として伝わるのですが、
有毛細胞から脳へは電気信号に変換されて(神経細胞経由で)伝わりま
す。

 

当然加齢と共に有毛細胞が痛んでしまったり、死滅してしまうと信号が
脳へと正確に伝わりません。

 

 

以前の記事でもご紹介した耳の構造です
画像提供:株式会社ムトウ

 

 

この有毛細胞の機能低下を防止(サポート)する方法として、

 

・このブログの記事欄の右横にある広告欄でもご紹介している磁歪式聴
覚補助器のようなサポート機能を有した機器を使う

 

・有毛細胞の機能維持にも有効な薬(サプリメント等)を使う

 

等の方法もあります。

 

以前の記事でご紹介したレスベラトロール(葡萄の皮に含まれる成分)
も(有毛細胞の機能維持に)有効であることが証明されています。

 

そして、もう一つ大事なことは、定期的な検診で、受容器の機能低下を
早期に発見することです。

 

特に「耳」は一度悪くなると、なかなか良くならないといわれています。

 

早期発見、早期治療が大切なのです。

 

 

画像素材:Jim Mayes
綺麗な紅葉もクリアでないと、美しさも半減してしまうかも…

 

 

さて、ここでこの受容器についてもう少し説明をして置きたいと思いま
す。

 

受容器の数は、感覚器でバラツキがあり、精度に違いがあります。

 

 

触覚:皮膚1cm2あたりの受容器の数は約30個

 

味覚:舌の表面にある数千個もの小さな味蕾により5つの味覚を検知

 

聴覚:前述の有毛細胞1万8千本

 

嗅覚:約4000万個(396種類)の受容体で味を判別

 

視覚:約1億3000万個(2種類)の受容体は圧倒的な数

 

 

受容体の数の多さで順番にまとめてみましたが、その数が圧倒的に多い
のが視覚です。

 

受容器の数 = 感覚器の精度

 

ということになりますが、この数字を見ると、目で見る情報が凄く多い
ことがわかりますね。

 

視覚の受容器は、網膜にある視細胞で、錐状体および杆状体の2種類が
あるのですが、各々色の識別や光の感知を担っています。

 

筆者は、もう随分と前から歯科については3カ月に1回定期検査を受け
ていますが、この情報をみれば、眼科にも行っておいた方がいいのかな
と感じてしまいました。

 

現役の社会人なら、年1回の健康診断があります。

 

現役を引退すると、定期健診にはめったに行ったりはしません。

 

なかなか悪くならないと医者にはいかないものですが、高齢になったか
らこそ定期健診が必要なのかもしれませんね。

 

悪くなってから行くよりもショックが少なくて済みますし…(笑)

 

 

今回の記事は、最近のニュースを見て感じたことを記事にしてみました。

 

 

今回の記事も最期までお付き合い頂き、感謝申し上げます。