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ビジネスケアラーをどう救うのか

2024年06月08日
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書斎の出窓から見える(お隣の庭にある)箱根ウツギの花がまた増えま
した。

 

僅か一週間で、その成長力にビックリしています。

 

まさに爆発的な成長力です。

 

 

画像素材:Jim Mayes 箱根ウツギの花です

 

 

 

前々回の記事では、高齢者の孤独死が爆発的に増えているという話しを
しました。

 

今回の記事では、もう一つ爆発的に増えつつあるモノをご紹介してみた
いと思います。

 

それは、以前の記事でも度々ご紹介してきた「認知症」です。

 

(関連記事は、「認知症」で検索してみてください)

 

昔は「ボケ」と呼んでいました。

 

少し前までは、「認知症」ではなく、「痴呆症」とも呼ばれていました。

 

専門用語では、「スペクトラム障害」といいます。

 

ようするに(脳の)病気なのですが、

 

その特徴は、

 

個人差があること(症状は人によって違う)

 

徘徊は全ての人には起こらないこと

 

軽度から重度にかけて、その進行はゆっくり進むこと

 

…だから病気だとはわかりにくいのです。

 

認知症に罹ると、記憶は苦手になるのだけれど、判断はできる

 

故に詐欺にもあいやすくなります。

 

単純な物忘れから、場所や時間の感覚が無くなる「失見当識」へと移行
すると、(自分の家にいるにも拘わらず)自分の家がわからなくなり徘徊
となります。

 

重度になると知識低下に陥り、会話も成立しなくなります。

 

ただ、認知症でも生きる力は残っています。

 

 

認知症の症状の移行についてわかりやすいように簡易図にしてみました
ただ、全ての患者が同じパターンではないのです
そして、移行に要する時間も個人差があります

 

 

 

一部の男性を中心に狂暴になるケースを筆者も見たことがあるのですが、
多くの場合朗らかになるという良い傾向も見られます。

 

老化」ではなく「朗化」ともいえるわけです。

 

ですからどこから病気で、どこまでが病気ではないなのか線引きがとて
も難しい病気なのです。

 

そんなこともあり、お医者さんに任していいのかどうか悩む部分も多い
といえます。

 

ただ、その進行を遅らせる方法もあります。

 

一つは薬を使う方法です。

 

日本の医薬メーカと米国のベンチャー企業が共同で開発した認知症の新
薬が、昨年(2023年)米国と日本で医薬品としての承認を取得しま
した。

 

ただ、患者への投与が始まったばかりであることと、処方できる医療機
関が限られるなどの課題もあるようです。

 

まだ、効果をハッキリとさせる段階ではないというレベルのようです。

 

それよりも頭を使う方が、薬より効果があるのかもしれませんね。

 

そして、(家や施設に)閉じこもらない、活動することも大事だと思い
ます。

 

なぜか、傾向として「都会は進行が早く」、「田舎は進行が遅い」という
報告もあります。

 

都会は便利で家の近くにコンビニがあるが、田舎は遠くまで行かないと
ない

 

という笑い話のような理由を聞いたことがありますが、ようするに頭と
体を動かす頻度によって進行の度合いが違うようなのです。

 

人という動物の本来の機能を失わないことが大事だということでしょう
か。

 

何もしなくなることの方が恐ろしいのです。

 

 

 

何もない田舎の方が、身体を動かす量が増えて、認知症の進行が遅い
何か納得できるような気もします

 

 

怖ろしい統計数値

 

 

公表された新しい統計数値は、まだ先の推計数値ですが、下振れよりは
上振れする可能性があることを考えると、背筋が凍り付くような数値
であるとも言えます。

 

その推計数値は、今から26年後の2050年のことのようです。

 

筆者は、きっとこの世にはいないので実感はわかないのですが(笑)

 

現在のこの国の高齢化率は30%弱です。

 

ほぼ3人に1人が高齢者という時代がもうすぐやってきます。

 

そんな中で、高齢者の3人に1人、約1200万人を超える高齢者が
認知症とその予備軍になる社会が2050年にやってくるらしいのです。

 

今から6年後の2030年には認知症の患者数が、523万人にのぼる
見通しとなったという情報が先般流れたばかりでした。

 

この数字、高齢者の14%にあたる7人に1人が認知症患者となる換算
になります。

 

20年で認知症が占める割合が、倍以上になるわけです。

 

それも人によって症状が変わる。

 

社会に与えるインパクトも大きいということになりそうです。

 

もう一つ、筆者が記事でも度々警鐘を鳴らしてきた2025年問題。

 

2025年以降、団塊の世代が後期高齢者の域に突入する頃には、この
問題の難しさは更に増していきそうです。

 

なぜなら、認知症発症確立は、後期高齢者になる頃から急激に上昇する
からです。

 

70歳代前半までは、3~4%だったものが、

 

70歳代後半で、一気に10%へ

 

80歳代前半で、20%を超え

 

80歳代後半で40%へ

 

90歳代を超えると60%を超えるとされています。

 

この(認知症対応の)負担は、子供や親族に重くのしかかることになり
ます。

 

 

認知症の年代別の発生確率です あくまでも目安ですが…

 

 

以前の記事でも度々ご紹介してきた介護離職の問題やヤングケアラーの
問題が拡大していくのです。

 

仕事と介護の両立が困難な人が増えると、経済的な損失は年間9兆円に
及ぶという試算もあるくらいです。

 

物価が上がるのに、給料が上がらない状態が続いています…

 

そこに働きながら(認知症を含めた)介護の負担を抱える時代がくる
のです。

 

経済的な負担は、軽くはありません。

 

働きながら(親や親族の)介護を担う方々を「ビジネスケアラー」と
呼ぶそうです。

 

このビジネスケアラーをどう救うのか…

 

制度や支援も大事ですが、まず多くのビジネスケアラーの方々に正しい
知識と情報を持ってもらう必要があると筆者は思うのです。

 

 

 

画像素材:フォトサリュ  
大都会で認知症患者が爆発的に増えた時、どんな問題が起きるのか?

 

 

海外の事例

 

 

一方海外では、増えていく認知症への捉え方が少し違うようです。

 

高齢対策の先進地域である北欧、

 

その中でもオランダの取り組みはとても参考になります。

 

首都アムステルダムの近郊にある街「デ・ホーヘワイク」は、認知症対
応の好事例と言ってもいいかもしれません。

 

ここにある街は、住民全てが認知症の方々です。

 

でも、日本の高齢者施設のような存在ではないのです。

 

街の中には、スーパー、理容室、映画館等、普通の街と同じようにお店
があります。

 

その運営を担っているのは、(運営)企業のスタッフです。

 

ですから、街の運営スタッフ以外は全て認知症患者ということなのです。

 

ここに住む認知症の皆さんは、街の中で普通に生活ができます。

 

(街の)利用料は高額ですが、長期医療保険等を活用すれば、自己負担
を減らすことができるそうです。

 

入居資格は重度の認知症ということだけで、基本死ぬまでここに居続け
ることができるようです。

 

 

認知症になっても、普段どおり買い物をしたり、食事をしたり、街の
中を散歩したりできるなんて素晴らしいことですね

 

 

死ぬまで自由で、普通に生活ができて、子供や親族に負担を掛けなくて
済む。

 

施設に入れば、子供や親族の負担は軽減されますが、本人の自由が無く
なった上に、好きなことができなくなってしまいます。

 

日本の高齢者施設で生活している高齢者の皆さんの不満は、(たくさん
ある中で)

 

“普通に生活している”という感覚を得られない

 

ということだと聞かされると、なるほどと頷いてしまいます。

 

日本の高齢者施設には自由がない…

 

本当に(高齢者)施設は、(高齢者にとって)良いところなのでしょう
か?

 

このオランダの高齢者の街の運営方針を見ていると、いくつか “へぇ
ーっ” と関心させられるところがあります。

 

食事・洗濯・掃除・入浴・着替え等の時間帯を決めないそうです。

 

スタッフが現場でタイミングを判断して運営しているそうなのです。

 

スタッフのアイデアで運用方法を変えていくとも…

 

全員一斉に行うことに、(利用者にとって)利点も付加価値もないこと
をスタッフが理解していると聞くと、日本(の施設)は遅れていると感
じます。

 

筆者も勉強の為に、多くの(日本の高齢者)施設で働きましたが、

 

食事・入浴等全てがスケジュール化されていて、流れ作業になっていま
す。

 

入居者が、工場の中でベルトコンベアの上に乗って流れる部品のように
見えていました。

 

ビジネスケアラーの負担を軽減した上で、認知症本人の生き甲斐をも維
持できるこのような仕組みが日本にもできないだろうかと感じてしまい
ました。

 

このオランダの取り組みは、国や自治体の支援もあるものの、民間企業
がその運営を担っています。

 

施設内での虐待や高い介護職の離職等を考えると、今のこの国の高齢者
施設の形がこのままで本当に正しいのかという気もします。

 

 

画像素材:PIXTA  写真はオランダのお隣りにある北欧デンマーク

読者の皆様も一度ネットで「デ・ホーヘワイク」を検索してください
そうすれば画像でどんなところか見ることができます

 

 

どのようにビジネスケアラーを支援するのか

 

 

識者の皆さんは、(認知症の)予防・治療・介護を含め社会全体での取
り組みが課題だとおっしゃっていますが、その実態は最終的には病院や
施設任せとなっています。

 

どのように予防するのか?

 

地域の中で、人と話す機会を増やしたり、身体を動かしたりして、認知
機能の低下を防ぐ予防活動をしている自治体やNPO法人はたくさんあり
ますが、その活動と地域の高齢者との接点は意外と少ないような気がし
ます。

 

知っている人は知っているが、知らない人は知らないのです。

 

何かのきっかけがないとそんな場所に行けないという人も少なくないの
です。

 

ネットで検索ができない高齢者には見つけることが難しいかもしれませ
ん。

 

政府は昨年(2023年)に、認知症に特化した初の法律「認知症基本
法」を成立させました。

 

AIや民間企業の技術力を生かす政策も出てくるそうなのですが、それを
どのようにビジネスケアラーの皆さんに活用頂くのかが課題になりそう
です。

 

ビジネスケアラーの皆さんだけでなく、ヤングケアラー、オールドケア
ラーの皆さんが何を困っていて、どのような情報を提供することが有効
なのかという視点でも是非考えて欲しいものです。

 

筆者もこのブログの趣旨でもある

 

(国難ともいえる高齢化の実態を)

 

「まず知って(頂いて)」

 

「行動する」

 

ことに対しての支援活動をこれからも続けていきたいと考えています。

 

この国で増え続ける認知症の影響をどのように軽減していけるのか、

 

国や識者の皆さんだけで考えるのではなく、多くの国民も参加して考え
ることができれば、良いヒントが得られるかもしれませんね。

 

 

画像素材:PIXTA  いつまでも元気でいて欲しいと誰もが願います
でも誰もが1年経てば1歳年をとるのです  例外はありません

 

 

ただ、ヒントを得られるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

それまでは、多くの情報や知識を習得して、準備をしておくことも重要
です。

 

自分の親は大丈夫!(だと思うことは)

 

は、危ういかもしれません。

 

でも、今迄苦労を掛けてきた親にはいつまでも元気でいて欲しいもので
す。

 

認知症のことなど気にせず、「好きなこと」や「新しいこと」をすると、
脳は刺激を受け、活性化します。

 

将来を悲観したり、諦めてしまうと脳は活性化しません。

 

明るく前向きに好きなことをする方が、認知症から遠ざかることができ
るのです。

 

そんなことを支援していくことも、子供の役目なのかもしれません。

 

そんな努力が認知症予防に繋がればとても良いことだと感じています。

 

 

今回の記事は、孤独死とともに増えている認知症について考えてみまし
た。

 

 

高齢化していく社会には難問が山積していますが、問題は逃げると追い
かけてきます。

 

逃げずに対応策を考えておく。

 

出来る限りのことは準備していく。

 

災害と同じ考えができるのではないでしょうか。

 

 

今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。