格差は消費にも
お米の値段が下がるどころか上がっています。
筆者が先日購入したお米は、5Kgで税込み4千円台後半でした。
5千円を出しても、お釣りで缶コーヒーが1本買えるか買えないか…
もうすぐ5千円に届くのではないかと感じさせる異常事態です。
そんな中、お弁当等の食品加工業界では、苦心の対策が進んでいます。
お弁当のお米に麦やこんにゃくを混ぜて価格高騰を抑え、消費を冷え込
ませまいと懸命の努力が続いているようです。
お弁当の値段が上がれば、買い控えが起こり、事業者も苦しくなる為、
本当に必死です。
価格が下がらない苦しい言い訳を続けるお役人に、爪の垢でも飲ませて
あげたいものです。
国内でお米離れが進めば、大打撃を被るのは結局弱い立場の生産者の
皆さんです。
消費が落ち込めば、景気が悪くなることは誰もがわかっているにも拘わ
らず、とても残念でなりません。
前回と前々回の記事では格差の問題に触れてみました。
その格差の中身は、所得の格差であったり、(保有)資産の格差であっ
たわけですが、実は格差は消費についても存在しているのです。
それも前回の記事でご紹介したように、その格差は高齢期の方々を中心
に現れ始めています。
高齢化と共に広がり続ける格差が消費(経済)にも大きな影響を与え
つつあります
漠然とした将来への不安
現役世代のように毎月決まった安定収入がない高齢者の皆さんは、言い
表しようのない将来への不安を持っている方々が少なくありません。
年金はあるけれど、年金だけでは食べてはいけない。
年金以外にも収入がある方々もおられますが、その(所得の)大きさは
決してこの不安を払拭できるものではなさそうです。
高齢期の皆さんが持っている預貯金等の資産は現役世代の保有資産を大
きく上回っていますが、その資産が消費へと回ることはないのです。
その理由は、将来への漠然とした不安にあるといっても過言ではありま
せん。
身体(健康状態)の不安から、将来大きな医療費が必要かもしれない…
蓄えはあっても、この物価高が長く続けばこれからどうなるのか…
国や政府は資産を投資に回せというけれど、株価は乱高下でいつ暴落す
るかわからない…
あれほど国が勧めたNISAは今、どうなっているのでしょうか…
持ち家ではないのに、これから家賃が高騰していったらどうしよう…
年金だけでは毎月の(家計)収支は赤字…
預貯金が(少しだけとはいいながら)目減りしていくのを見るのは身体
によくない…
毎月減っていく預金通帳の残高を見ていると不安でしかない…
こんな不安を多くの高齢期の方々が持っているのです。
物価連動型で微増する年金も、物価上昇率には追い付いてはいません。
将来どうなるのかわからない為に消費は抑えられているのです。
画像素材:いらすとや
現役を引退すると漠然とした将来の不安に襲われる方々が多いようです
どうすれば消費は増えるのか
どうすれば消費は増えるのか?
至極簡単なことです。
毎月預金通帳の残高が減らないこと…
残高が増えていけば間違いなく消費は増えていきます…
これは高齢期に拘わらず、現役世代も同じですが…
これから高齢化率の上昇と共に、預金通帳の残高が減っていく人が増え
ていくと考えると、消費は間違いなく冷え込んでいきそうです。
対策を打たない限り…
ですから、筆者は高齢者も健康維持をしているならば、キチンとした報
酬を得て、社会に貢献することが良いのだと訴えているのです。
そうしないと、
漠然としていた将来の不安が、明確な不安になった時、もっと大きな
問題が起きるからです。
日本人は、大昔は1日3食ではなく、2食だったそうです。
もう既に食費を削る為に1日2食で我慢する人もいるようです。
食べるものを我慢していけば、栄養的なバランスが崩れます。
地域の高齢者支援をしている時、よく相談を持ち掛けられたことがあり
ました。
その殆どが女性なのですが、
ドンドン痩せていくのだけれど、食が細くなるのだから仕方がないこと
なの?
キチンと食べないといけないことはわかっていても、独りで食べるのは
寂しい…
いつも同じものばかり食べているような気がする…
筆者から高齢女性へのアドバイスは、
「食べる量は減っても、栄養バランスを崩してはいけませんよ」
と栄養バランスシートを配って説明していました。
地域の高齢者支援のイベントで出していた昼食です
珈琲付きで500円と低価格に抑えていますが、参加者の皆さんが一番
楽しみにしているのは「皆で楽しく食事やお茶ができる」ことなのです
孤食は、フレイルや認知症の要因の一つになっています
食品が高いからといって、栄養が偏ることはフレイルに近付くことにも
なりかねません。
若ければ毎日安いモヤシを食べて凌ぐこともできますが、高齢期にはそ
れは無理です。
高齢期だからこそ食の栄養バランスには気を付ける必要があるからです。
食だけでなく、お金がないからといって医者にも行かない高齢者が増え
るのも問題です。
国は後期高齢者の医療費自己負担を増やしています。
これがこれからどんな事態を引き起こしていくのかとても心配です。
気が付けば手遅れで、結局医療費が嵩んでしまったなんてことになら
なければいいのですが…
回りまわって、国の社会保障費も上昇カーブが加速なんてことになる
可能性もあるのです。
将来への不安が、高齢者の皆さんをドンドンと「負のスパイラル」に
落とし込んでいくのではないかと危惧しています。
以前の記事でご紹介したことのある「負のスパイラル」の図です
この「負のスパイラル」の原動力は、「将来への不安」なのです
将来への不安を消す方法を考えて、実行する時が来ています
この「負のスパイラル」、
大きければ大きいほど、
深ければ深いほど、
この国の消費(経済)に大きな影響を与えます。
「負のスパイラル」ではなく、国を良い方向に上昇させる「正のスパ
イラル」の設計図がそろそろ必要なのです。
お米の価格を安定化させるのにこんなに時間がかかる方々にそれをお願
いするのは難しいことはわかっているのですが、誰かが考えて実行して
いかなければならない時を迎えていることは確かです。
今回の記事は、消費の格差について考えてみました。
なかなか妙案は浮かばないかもしれませんが、解決策を(国民の)たく
さんの頭で考えれば何かヒントは掴めるかもしれません。
こんなクソ真面目で面白くもないブログを読んで頂いている読者の皆様
の頭に閃くこともあるかもしれないのです。
諦めず考えていくことから続けていくしかないのかもしれませんね。
ある大学の先生に「この国はどうなるのでしょうか?」と相談した時、
返ってきた言葉は、
「なるようにしかならない」
先生にこんな相談をしたのは、北海道支笏湖の湖畔を2人で散歩しなが
ら話しをしている時でした
先生の気持ちは理解できましたが、とても複雑な気分でした。
何とかしなければならないのですが…
今回の記事も最後まで読んでくださり、感謝申し上げます。