子供は国の宝物
GWが終わってしまいましたね。
飛び石連休と物価高の影響で、多くの方が(お金を使わない)近場のレ
ジャーを選択したようです。
筆者も東京での仕事帰りに、かねてから孫1号の要望であった列車旅行
をGW頭の土日を使って強行しました。
GWで大変な人混みになると思っていたのですが、東京からの新幹線、
名古屋からの私鉄特急も、懸念していたほどの混み具合ではありません
でした。
大阪でほぼ全ての私鉄電車に乗り、孫1号もご満悦で東京に戻っていき
ました。
残念だったのが、大阪城見物。
人が多過ぎて、写真を撮るにも下から見上げるしかありません(笑)
インバウンドの海外観光客が大型バスで大挙して押し寄せ、長蛇の列で
とうとう天守閣の中に入ることができなかったのです。
孫1号もさすがに諦めて、代替え策であった大阪に一つだけ残っている
路面電車に乗ることで納得したようです。
駅から駅へと移動の連続。
電車三昧で大変でしたが、孫1号の笑顔をたくさん見ることができて、
ジージ(孫はいつも筆者をこう呼びます)も満足の2日間でした。
インバウンド観光客の中にも子供たちがたくさんいて、とても元気を感
じました。
海外の子供たちを見ていると、やっぱりこの国の子供たちは少なくなっ
たなと感じてしまいます。
子供たちはこの国の未来を背負って立つ大事な宝物です。
少ないよりは多い方が良いことであると決まっています。
でも、最近発表される少子化のデータには驚かされるものが多いのが実
状です。
少子化対策はどうなった?
筆者の家には3人の子供たちが生まれました。
息子の家には、現在2人の(筆者にとっての)孫がいます。
結婚した夫婦の間に2人以上の子供たちが生まれないと、人口は減少し
ていきます。
正確には2.07人の子供が生まれないと人口減少になるのだそうです
以前の記事でもご紹介した国力の図(数式)です
人口は大事な要素であり、国力は「豊かさ」を示す指標でもあります
結婚しない人が増えていることを考えると、2人ではとても足りないの
かもしれません。
この国に生まれる子供たちは年々減少しており、年間に生まれる子供の
数が数年前に100万人を割り込んだところでした。
ところが、今年(2025年)70万人を下回るという予測まで出ると
少し恐ろしくもなります。
異常ともいえる減少率です。
子供の数が減るということは、人口減少になるということに繋がります。
高齢化の次にやってくるのは、多死社会です。
子供の数が減り、たくさんの高齢者が亡くなる時代が来るのです。
要するに、人口減少に拍車がかかるということになります。
人口減少 = 国の勢いが落ちる =豊かな国ではなくなる
気になった筆者は、21世紀に入ってからの出生率(合計特殊出生率)
を調べてみました。
筆者が政府統計数値をグラフ化してみたものです
確かに国の少子化対策の効果は全くといっていいほど現れてはいません
2005年に合計特殊出生率が1.26迄下がって大騒ぎになったこと
は記憶していましたが、
その後、幾分持ち直しの傾向があったものの、2015年くらいからま
た下降線を辿っているようです。
国の少子化対策の効果は、全くと言っていいほど出ていないようです。
出生率が下降線に入る2015年には、以前の記事でもご紹介したこと
もある「1億総活躍社会プラン」が打ち出されました。
その中で、10年後の2025年までに希望出生率を1.8迄引き上げ
ようという達成目標も掲げられていました。
そう、今年(2025年)までに出生率を目標まで引き上げる筈だった
のです。
結果は、上がるどころか、猛烈な勢いで下がっており、このまま放置す
れば1.0を下回る可能性すら出てきました。
達成目標を掲げてから一気に下降線なんて皮肉なものですね。
確かにこの目標を達成する為には、全ての(適齢期の)女性が2人の子
供を産まなければなりません。
いわば、国が女性に対して「子供を産みなさい」と言っているに等しい
わけです。
ある意味、国がセクハラ(パワハラ)していると捉えられても不思議で
はない状況ですが、こんな達成目標よりももっと大事なことがあること
をまず国が理解しなければならないと思うのです。
こんないい加減な達成目標より、国民の生活(状況)をよく見なければ
ならないと…
地方創成は夢なのか
でも、この出生率1.8にはきちんとした理由があるようです。
この目標が達成できなければ、約半数にあたる自治体が消滅の危機に晒
されることになるそうです。
その数、なんと約900自治体…
その殆どが地方の自治体です。
会社は潰すことはできても、生活の場でもある町は簡単には潰せません。
その為に前述の「1億総活躍社会プラン」が打ち出された2015年の
前年には地方創成担当大臣が任命され、地方の立て直しが進められたこ
とは読者の皆様もよくご存じのことだと思います。
初代大臣は、現在の総理大臣でもある石破さんでした。
筆者も幾度か石破大臣(当時)のお話しをお聞きしたことがあります。
石破地方創成大臣のお話を聞いて筆者がまとめた図です
地方ではこのように円滑に循環がおこなわれていないようです
石破さんのお話しのポイントは、
・地方では、人・モノ・金が循環していない
・地方の人口は急速に減少していく
・農業就業者の年齢は、10年(調査が10年単位)で10歳上がって
いる
ようするに、農業の担い手がいない、そして高齢化しているということ
です。
今、直面しているコメ問題がこれからも続いていく可能性があることを
示唆しています。
地方は大変なことになるとわかってはいるのに、何も対応ができていな
い状況には、本当に危機感すら感じてしまいます。
ただ、女性の多くが地域で働いている地方では、意外にも出生率は都市
と比較して高いのです。
出生率が一番低いのは東京で、次いで大都市圏、地方でも県庁所在地の
町は一概に出生率は低いという統計数値が出ています。
東京の出生率が低いのは、「高い家賃」「長い通勤時間」等々理由はたく
さんあるようですが、その反面で高収入で社会インフラが贅沢なほど整
備されていること等を考えるとあまり説得力はありません。
女性の高学歴化や自立化を理由に挙げる研究者もいますが、安心して
子供が産めることと、子供を育てる環境が整備されていることが大事
だと筆者は思います。
どうしたら子供を産み育てたいと思うのか…
安心して子供を育てられる環境は、子育て手当や保育所の整備だけでは
ありません。
都道府県別だけでなく、市町村別に出生率を見るとKEY-WORDが見え
てきます。なぜ地方の離島が高いのか? 大きな町でも高いのはなぜ?
低い東京都の中でも、小笠原(村)はとても高いのです
筆者にも一つだけ地方が都会に比べて出生率が高い理由がわかります。
それは親の存在です。
以前に記事でもご紹介しましたが、筆者の住む街を見ているとわかるこ
とがあるのです。
筆者の子供たちは全員が東京の大学でしたので、3人中2人は東京に
残りました。
街の中の方々も同じような環境で、一旦、子供たちはこの町から巣立っ
ていきました。
それが何時の頃からか、この町に戻ってきて子育てをしている人が増え
たのです。
ようするに、Uターンしてきたわけです。
その理由は、
親の家に同居すれば(高い)家賃を軽減できる
(幸いにして地元は土地が広く大きな家が多い)
勤務先(大阪・神戸)には1時間以内で通勤可能
(保育園に子供を預けなくても)子供の面倒は親(ジージとバァバ)
が見てくれる
昔のようにお母さんが専業主婦のような家庭は極めて少なくなってしま
いました。
子育てしながら子供を育てるには、子供を保育所に預けないといけませ
ん。
「保育所落ちた! 日本死ね!」
こんなメッセージを覚えている方もいるのではないでしょうか。
保育所空き待ちといった厳しい育児環境ではなくなったといっても、
保育所を使うことは経済的にも時間的にも負担になります。
親ならタダです。
送り迎えの手間もかかりません。
虐待もなし、いじめもなし。
これが「究極の安心」と言えるのではないでしょうか。
子供手当も大事、
保育所の整備も大事、
でも、子供を安心して産み育てることができる環境整備は、かつてこの
国の社会が持っていた「互助の力」を蘇らせることでもできるのです。
上記の(市町村別)出生率の分析を見て、わかるような気がしません
か?
なぜ、(税金という大金を使って)少子化対策をしても、出生率が下がっ
ていくのか…
本当の安心感とはどんなもので、どこから感じるものなのか…
それも身近に感じることができなければ意味がない…
国ももっと現場を見て、真剣に考える必要があるのではないでしょう
か。
今日も筆者の自宅の前にある大きな公園では、元気に子供たちが走り
回っています。
子供たちは街に活気を与えてくれます。
この国の未来を支えてくれる子供たちを地域でどうサポートしていくの
か…
この国がかつて持っていた地域や家族の力をどう取り戻していくのか…
画像素材:いらすとや
大家族制には少子化対策のヒントが隠されていると筆者は思います
そんなことを考えていく中に、真の少子化対策のヒントが隠されている
と感じています。
今回の記事は、孫との旅行をきっかけに多くの子供たちを見て感じたこ
とを記事にしてみました。
筆者はこの歳になっても、子供たちや孫たちから多くを学ぶことができ
ています。
子は鎹(かすがい)という言葉がありますが、子供たちには夫婦の仲や
縁を繫ぎ止めるだけでなく、家族とか地域の未来を繋ぐ力があることを
理解する必要があるのではないでしょうか。
今回の記事も最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。