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なぜ先延ばしになるのか?

2025年05月24日
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令和の米騒動も、とうとう担当大臣が更迭される事態に発展してしまい
ましたね。

 

GW明けのある日、お米の価格の安定化と物価高対策を総理大臣が与党
の幹部に指示を出した時のことを思い出してしまいました。

 

今頃…いったい何を言っているんだろう…

 

と、筆者は対応のスピード感に違和感を感じていました。

 

お米の価格が問題になって、もう半年以上は経ちます。

 

この国の国民の姿(窮状)を真剣に見ているのだろうかと…

 

腹立たしいという感覚ではなく、呆れ果てたというのが正直なところで
す。

 

 

春満開で綺麗な花だらけ…でも我々の暮らし向きはパッとしませんね

 

 

備蓄米の放出が遅すぎた…

 

いや(本質を付いた)対応をしてこなかった…

 

結果、問題解決を先送りにしてしまった…

 

半年以上も…

 

新しい担当大臣は、来月上旬には5Kgあたり2千円台のお米を店頭に
並べると発言していましたが、まだ状況は流動的といえます。

 

専門家によると、夏頃には(価格が)落ち着きそうだという意見もある
ようです。

 

もしそうだとしても、主食に対する困難を1年も国民は抱えることにな
ります。

 

この国の「先送り」の体質については、以前の記事でも取り上げたこと
がありました。

 

少子高齢化の対応についても、本質的な対策は打つことができないまま
になっています。

 

今頃になって、就職氷河期世代の救済に乗り出すこと一つとっても遅過
ぎます。

 

バブル崩壊の影響とはいえ、就職氷河期世代の中に含まれる「団塊ジュ
ニア」と呼ばれる人口の塊への対策を怠った為に少子化は加速してしま
いました。

 

この国は、本当は「団塊ジュニア」世代が産み育てる子供たちによって
第3のベビーブームが起きていても不思議ではなかったのです。

 

合計特殊出生率も大幅に改善できたかもしれないと思うと、少し悔しい
想いもします。

 

第3のベビーブームで生まれたであろう子供たちは、間違いなくこの国
の将来を支える存在になっていたに違いありません。

 

 

家族で行楽地に行くこともこれからは当たり前ではなくなるのかも…

 

 

この国は、起死回生のチャンスを逃してしまったのです。

 

大リーグドジャースの佐々木投手が打たれたホームラン性のボールを
外野フェンスの上に手を伸ばしてキャッチした外野手のスーパープレ
イ…

 

二死満塁という大ピンチを救った執念を感じさせる守備でした。

 

凄かったですね!

 

そんな起死回生のチャンスが、この国にもあったのです…

 

本当に残念でなりません。

 

今回の記事は、もう問題の解決を先送りしない為にも、いまどんな解決
策があるのかこの国の人口構成図(ピラミッド)を使って考えてみたい
と思います。

 

人口構成図をゆっくりとみていくと、いろいろなモノが見えてきます。

 

え、そんなもの見たことがない?

 

以前の記事でも何度もご紹介したことがありますので、お時間があれば
目を通してみてください。

 

 

見えてくる本質

 

 

今回の記事では3つの人口ピラミッドをご紹介します。

 

いずれも国立社会保障・人口問題研究所が統計数字として発表している
ものです。

 

一つ目は、1965年の人口ピラミッドです。

 

 

国立社会保障・人口問題研究所が発表している1965年の人口構成図
2017年発表ですので、実績数値と思われます

 

 

筆者は5歳の幼児でした。

 

時代は高度経済成長へとまっしぐら…

 

この時代、なぜ日本は成功したのか…

 

日本のモノづくりが優秀だったからでしょうか?

 

それとも(アジアを中心に)競争相手が少なかったからでしょうか?

 

この人口ピラミッドを見ると、本当の理由が見えてきます。

 

ピラミッドの中の青色で示した生産年齢人口のところ、特に20歳前後
の若い世代が凄く分厚いのがわかりませんか。

 

そう、安価(給料は若いから安い)で豊富な労働力に恵まれていたので
す。

 

当時の競争相手でもある欧米に比べて安価で優秀な製品を低賃金の豊富
な労働力が支えていたことこそが、日本の成功要因の大きな一つだった
のです。

 

その後バブル崩壊を超えて人口ピラミッドがどうなったか見てみると、
この国の労働力が大きく変化したことがわかります。

 

 

国立社会保障・人口問題研究所が発表した2020年の人口ピラミッド
発表は2017年ですので推計値だと思われます

 

 

以前の記事でもご紹介した(1965年から55年が経過した)20
20年の人口構成図を見てみると分厚かった労働力の層は遥かに上に
移動し、高齢者層に入ってしまいました。

 

その反面で、若い生産年齢人口は痩せ細ってしまいました。

 

20歳前後の数は、55年前の半分もいないのです。

 

ここで大きな問題が2つあります。

 

このようになることは、もう随分と前から推計値としてわかっていたこ
となのです。

 

わかっていたのに、何も手を打てていないことが大きな問題なのです。

 

高齢化の予測もかなり詳細にできていたようです。

 

令和の米騒動も、随分と前から農家の就業年齢が高齢化していて、今後
お米の安定供給が持続不可能なことはわかっていたのです。

 

今の総理大臣も、このことは地方創成大臣の時から把握していたことで
あることは先日の記事でもご紹介したとおりです。

 

わかっていたのに手を打てなかった…

 

なぜ?

 

 

空に浮かぶ飛行機雲の様子を見れば、明日の天気は大体わかりますよね

 

 

 

結果、起死回生の具体策は現れることはありませんでした。

 

2つ目の問題は、この国の社会保障制度の仕組みが1つ目の人口ピラミ
ッドで示した1960年代にできたままだということです。

 

そうです。

 

この国の制度・仕組みも老朽化しているのです。

 

人口構成が1965年の人口ピラミッドのような時にできた健康保険や
年金制度を今も使っていることに大きな問題があるといえるのです。

 

豊富な生産力を支える多くの若者が、少ない高齢者を支える時代の仕組
みのままなのです。

 

人口構成が大きく変わってしまったにも拘わらず…

 

このブログを始めた時に日本の高齢化の特徴をまとめてみました。

 

世界に類を見ない「速さ」と「高さ」と「深さ」が問題だと説明しまし
た。

 

急速な高齢化の進展に社会システム(制度)が追いついていないとも書
きました。

 

前例がないことへの対応が難しいことはよくわかります。

 

ただ今まで(1960年代から)60年もの時間があったことも事実
です。

 

なぜ変化に対応できなかったのかを検証する必要があるのです。

 

それはこれからの変化に対して対応のヒントになるからです。

 

また同じ失敗を繰り返さない為にも…

 

 

もっと怖い未来

 

 

それではここで3つ目の人口ピラミッドを示してみたいと思います。

 

今から15年後の2040年の人口構成です。

 

 

国立社会保障・人口問題研究所が発表した2040年の人口ピラミッド
2020年代に入ってからの出生率の加速度的現象が気になります

 

 

釣鐘型と呼ばれるその形は、今より更にいびつになっています。

 

人口の大きな塊であった「団塊の世代」の多くはこの世を去るようで
す。

 

一番幅の広い「団塊ジュニア」世代も高齢期に入りかけています。

 

前述のように国の施策があって「団塊ジュニア」の子供たちが大量に
生まれていれば、青色で示す生産年齢人口はもっと分厚かった筈です。

 

この少ない青色で示した生産年齢人口で国を支えなければならないの
です。

 

筆者が度々記事で「もっと高齢者を活用すべき」「年齢差別を無くせ」
と訴えていることを理解していただけるのではないでしょうか。

 

この人口ピラミッドは、実は今から8年も前の2017年に推計され
たものです。

 

ですから今、更に少子化が加速している状況を踏まえると、ピラミッド
の低層である年少人口や若い生産年齢人口はもっと痩せ細っていく可能
性が高いといえます。

 

こんな状態で現在の社会保障制度がどこまで維持できるのか…

 

この問題は、この国に生きる国民全ての問題なのです。

 

政治家や国に任せきりでいいのか…

 

また先送りにならないのか…

 

全ての国民が考えることなのかもしれないのです。

 

 

なぜ多くの問題が先送りにされるのか、その要因は読者の皆様もよく
ご存知の筈です…

 

 

少子化の次に来るモノ

 

 

筆者はこの2年くらいは高齢者住宅に住む単身者(殆どが女性)を研究
していました。

 

何度も記事でもご紹介してきましたが、

 

そこには、認知症、貧困、将来の不安、病気等の心配事はたくさん存在
していまた。

 

ただ、サポートも存在していたのです。

 

訳があって親族と疎遠な方もいましたが、殆どの独居高齢者の皆さんは
近親者のサポートを受けていたのです。

 

一番頼りになるのは、子供を含めた近親者です。

 

行政や施設ではありません。

 

それが、結婚しない、子供を産まないということが続けばどうなるのか…

 

女性に子供を産めなんてことを言うつもりはもうとうありません。

 

ただ、近親者のサポートがない人が増え続けた時に、この国はどうなる
のか…

 

誰もが1年経てば歳を取り、いずれは必ず高齢者になります。

 

高度経済成長期のように平等で豊かな時代であれば心配も軽減されるで
しょうが、今は異常なほど格差が広がってしまいました。

 

こんな不平等な時代に、高齢化して、近親者のサポートもない…

 

考えただけでも恐ろしくなります。(あくまでも筆者の感覚です)

 

なんとかなるは幻想です。

 

なんとかする方法が必要なのです。

 

 

筆者はよく子供たちからプレゼントをもらいます
誕生日、父の日、記念日…感謝の気持ちなのだということですが…
言葉だけで十分です…
苦労もしましたが、今は子供がいることに感謝しています

 

 

残された方法

 

 

解決策はいくつもあるのかもしれません。

 

ただ、筆者が考えている策は只一つです。

 

高齢者を(この国の為に)使い倒す

 

(健康を維持している)高齢者がもっと社会に前向きに貢献できる施策
を打つべきだと考えています。

 

働いて(社会に貢献して)、税金を納め、将来の不安を軽減させること
によって消費し、(地域)経済にも貢献する。

 

年金に頼ることなく、(できる限り)自分の力で生きていく。

 

今はそれができません。

 

まずは、年齢差別を中心に年齢によって決められている様々な制度を見
直していく。

 

それができるようになれば、世代を超えた支え合いの仕組みをもう一度
考え直す。

 

働くこと(社会に貢献すること)ができない状態で、全世代型社会保障
と言われても高齢者の皆さんは全く理解をすることができません。

 

この先、国はどのような施策を打つのでしょうか?

 

様々なしがらみに“がんじがらめ”にされて、また先送りを繰り返さない
ようにしてもらいたいと思います。

 

まだこの国には起死回生のチャンスが残されていることを信じて…

 

今回はテレビで国会審議のやり取りを見て、考えたことを記事にして
みました。

 

少し長くなり、

 

また、くどくなり、

 

お詫び申し上げます。

 

 

長い記事に最後までお付き合い頂き、感謝申し上げます。

 

ありがとうございました。