BLOGブログ

暑さと認知症

2026年08月29日
7

8月も下旬だというのに、相変わらず暑い日が続いています。

 

ただ、今年の夏は空の様相が変わってしまいました。

 

朝は青空でも、午後になると空が黒っぽい雲に覆われてしまいます。

 

リュックサックの中に、常に折り畳み傘が欠かせなくなりました。

 

いつまでこの暑さと天候不順が続くのでしょうか…

 

以前の記事で、春と秋が短くなったと書いたことがありました。

 

春と秋が短くなったということは、暑い夏と寒い冬が長くなったということになります。

 

暑過ぎる夏はもう勘弁して欲しいですね…

 

40℃以上の酷暑が当たり前になった夏、高齢者の皆さんにとっては余り良いことではなさそうです。

 

昨年夏に投稿した記事で、異常な暑さは寿命を縮めると書いたことがありましたね。

 

厳しい暑さが長引くと、寿命以外にも影響を及ぼすものがあることが最近の研究で分かりました。

 

それは認知症です。

 

先日、東京科学大学(令和6年に東京医科歯科大学と東京工業大学が統合してできた大学)の研究チームが発表した内容がとても気になりました。

 

今迄、猛暑だけでなく酷暑が当たり前になった暑い日が、認知症発症にどの程度影響するのかは明らかになっていなかったからです。

 

研究チームが、全国約6万人(6市町村選択)を3年間追跡した結果、5~9月に暑い日が合計30日あると、翌年の認知症発症リスクが40%~150%増加することが分かったそうです。

 

 

 

 

この一般的な認知症の発症確率に対して単純に150%を掛けると恐ろしい数字になりますね… いろいろな条件があるのでそう簡単にはならない筈ですが…

 

 

 

この数字を見るだけで恐ろしくなりますね。

 

暑い日が30日を超えて、もっと増えた場合はどうなるのでしょうか?

 

認知症が介護状態になるスイッチを押すという事実を考えると、猛暑や酷暑から高齢者を守る対策が必要であることがわかります。

 

加齢に伴い体温調節機能は低下していきます。

 

以前の記事でもご紹介したように皮膚の感覚センサー(受容器)は加齢とともに劣化していきます。

 

皮膚のセンサー(受容器)の数は、目や耳より数が少ないということもありますが、温冷覚の劣化や機能停止が、高齢者の熱中症や脱水症状等の健康被害を引き起こしているのです。

 

「暑いのに脳が暑いと感じていない」

 

声や音は耳が聞いているのではありません。

 

脳が聞いているのです。

 

それと同じで、暑いという感覚は脳が感じて初めて(回避)行動ができます。

 

 

血流の問題等で細胞に十分な栄養が届かなかった場合でも、自律神経の乱れ等で脳に正確な情報が伝わらなくなります <画像内に「いらすとやさん」の神経細胞の画像を使っています>

 

 

 

暑い日が続き、

 

こんな状態が続くと、

 

感覚器と脳の関係性自体に大きな問題が生ずるのかもしれないと筆者は考えています。

 

以前、ある学会でこんな話を聞いたことがあります。

 

皮膚の受容器(センサー)で感知した暑さと寒さの感覚情報が、脳の神経細胞群を活性化し、さらに視索前野と扁桃体と呼ばれる2つの脳領域へ伝達されることを見つけたそうです。

 

視索前野とは、脳の視床下部の前方部分に位置する脳の領域をいいます。

 

生きていく為に重要な体温調節機能以外にも、睡眠覚醒制御や生殖行動、社会行動等人間が人間として生きていく為に必要な行動を制御する重要な部分です。

 

扁桃体は、恐怖や不安など情動を処理する脳の大事な一部分です。

 

人間の身体は、本当によくできていると思います。

 

体中のセンサー(受容器)の情報は、脳の大事な部分とつながっているのです。

 

この「つながり」がうまくいかなくなると、どうなるのでしょうか…

 

加齢によって、皮膚の受容器(センサー)が劣化する

暑いという感覚情報が脳に届かず、脳の神経細胞群を刺激しなくなる。

そして、必要な情報が脳で処理できない結果、生命維持に必要な行動ができなくなって、熱中症や脱水状態になってしまうのです。

 

熱中症で搬送された多くの高齢者の体温は40℃を超えていたそうです。

 

この負の連鎖が体内で起きていることの裏付けかもしれません。

 

 

 

暑さの「負の連鎖」から逃れる方法は、暑い夏でも涼しい環境を整備することしかありませんが…

 

 

 

負の連鎖は、これで終わるわけではないのです。

 

認知症は脳が働かなくなる病気です。

 

猛暑や酷暑が、皮膚の感覚器(センサー)の機能を更に低下させれば、負の連鎖の結果に認知症が加わることになるかもしれないのです。

 

今年も各地で、「観測史上初(の気温)」という言葉のオンパレードでした。

 

その「観測史上初」は今後も続き、

 

夏は更に厳しく、

 

長くなるかもしれないのです。

 

地球温暖化の影響で当面この状態が続くか、

 

更に状態が悪化する可能性が高いと思っておいた方がよさそうです。

 

上記の研究チームは、今後どのような対策が必要であるのかを考えていくことが重要であるとしていました。

 

暑い夏が続く中、高齢者の皆さんをどう守るのか…

 

これも自助努力というのは、いい加減厳しいのかもしれませんね。

 

年金だけでは暮らせない…

 

物価高に電気代の高騰…

 

「エアコンを使いたくても節約」

 

なんていうことも決して少なくないことが予想できる中で、妙案を見つけていかなければならないのです。

 

 

 

 

画像素材:いらすとや  年金手帳を持っていても笑えない時代が来ました… 認知症の症状が悪化すれば余計なお金も掛かるようになるのです

 

 

 

 

認知症患者の増加…

 

介護が必要な高齢者の増加…

 

イコール、社会保障費の暴騰が加速…

 

う~ン…なかなか難しい問題ですね。

 

何もしなければ、国も自治体も確実に首が絞まっていくことになるのです。

 

もうそろそろ、社会保障費の暴騰に歯止めをかける「総合的な対策」が必要になってきたのかもしれません。

 

筆者は日頃から高齢者施設での勉強を通して、強く思っていることがあります。

 

「(異業種の参入等で急速に増えている)高齢者施設や住宅を増やしても、この国は救えない…」

 

「元気で健康を維持している(自宅で生活をする)高齢者をいかに増やしていくのか…」

 

元気な状態を維持している高齢者の皆さんをどのように増やしていくのか…

 

それは高齢者施設の仕事ではないのです。

 

国も自治体もそんな取り組みに、もっとお金と人を使うべきだと筆者は常々考えています。

 

今回の記事は、猛暑・酷暑が認知症患者を増やすという研究結果にスポットを当ててみました。

 

ドンドンと厳しく、

 

そして長くなっていく夏、

 

なんとかしなければいけないのです。

 

「暑さは気合で乗り切れ…」

 

そんな気持ちではこの国難は乗り切れそうにありませんね(笑)

 

 

今回の記事も最期まで読んでくださり、ありがとうございました。